ENGLISH

ARTIST STATEMENT - アーティストステートメント

熱力学の概念にエントロピーという言葉があります。乱雑さの度合いを表す物理量のことで、物質やエネルギーの局在の度合いを表すものでもあります。エントロピー増大の法則が示すところによれば、物体は崩壊を経て平衡状態に至るとされています。また我々個々の人間にも同様に働くものでもあります。しかしそれは悲観的になることでしょうか。 私はデジタルメディアの特性と人間の生命活動の差異について興味があります。エネルギーの存在を担保として永久的と唱われるデジタルメディアと相反した非永久的な身体性。例えばデジタルイメージはデバイスを通して音や光として存在しますが実体を持ちません。一方で実在の物質は用途に応じた形を持ち、また否応無しに崩壊のプロセスを辿っています。そこで私は作品中でイメージと実在的な物質の境界をコントロールし、その認知の差分を用いることで実在と不在を捉え直すことを意図しています。またその行為による結果、デジタル時代におけるアナロゴンは如何なる意味を持つのかを探っています。 加えてその行為の痕跡が美術に変わるとき、鑑賞者はそこにパーソナルな物語性や自己との関係性を発見する。私はその行為を肯定的に捉え、また制作のモチベーションとしています。


page top